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『NHKのみんなで筋肉体操』でおなじみの 谷本道哉先生のエッセイ

姿勢の良し悪しは生活の質に直結する

×ダブルアーチのS字カーブ、〇トリプルアーチの横M字カーブ 

脊柱は24個の脊椎からなり、前後に弯曲する構造で姿勢を支えています。この前後の弯曲は「S字カーブ」が理想と言われますが、実はちょっと違います。S字だと腰の後弯と胸の前弯のダブルアーチになりますが、これではアーチが1つ足りません。

適切な姿勢は、これに首の前弯のアーチが追加されたトリプルアーチになります。正確に表現するなら、理想の姿勢の形はMの字を横に倒した「横M字カーブ」と呼んだほうが正解です。

 この弯曲の1つ少ないS字カーブは典型的な不良姿勢でもあります。首の前弯がなく、首の骨が斜め前方向に直線で並んで、あごが前に出た姿勢になってしまっています。「ストレートネック」という状態です。

 

不良姿勢は不調につながる

ストレートネックでは頭が大きく前に出るので、頭を支える首周辺への負担が大きくなります。頭部を後ろから支える肩の僧帽筋がこわばる肩こり、首の後面が強く引っ張られ続けることによる首痛、首こりを誘発します。また、首の筋膜、腱膜は後頭部までつながっていますので、痛みが頭痛にまで波及することもあります。

スマートホンをいじる機会が増えたことが、ストレートネックを助長していると指摘されています。スマホを見るときは、うつむかずに顔の前で見るのがオススメです。俳句を読んでいるような姿になりますが、それも趣きがあって良いかもしれませんね。

不良姿勢の典型の1つとして、今回はストレートネックの話をしましたが、猫背や反り腰のような他の不良姿勢も様々な不調を誘発します。姿勢の悪さは、見た目だけの問題ではありません。体に不調を起こすから不良姿勢なのです。

 

ピロ―ネック、腰あては有能

 ストレートネックの改善に、飛行機に乗るときによく使われるピロ―ネックや車の運転席に着ける首あてが有効です。後ろから頸部を押してアーチを作ってくれます。

背中が丸まった猫背は、背骨の一番下の骨盤の向きを整えることで改善されることがあります。これには、腰あてのクッションが有効になります。腰のあたりを押すことで後傾している骨盤を立ててくれます。普段座る椅子に使うと腰が楽になりますよ。ソファにも使えます。

 これらのグッズで姿勢を矯正することは、適切な姿勢を癖づけることにも役立つでしょう。使っているときに「ラクになる」だけでなく、普段の姿勢から「整う」効果が期待できるわけです。姿勢改善のための姿勢教育にはいろいろな方法がありますが、このようなグッズを利用するのも1つの手といえます。

 

順天堂大学 スポーツ健康科学研究科 准教授
谷本 道哉

◆書籍

  • スポーツ科学の教科書(岩波書店)
  • 使える筋肉使えない筋肉 理論編・実技編・アスリート編(ベースボールマガジン社・ナツメ社)
  • 筋肉大図鑑(ニュートンプレス)
  • 現代用語の基礎知識 スポーツ科学編 2018-2022(自由国民社)など